バイク上達の第一歩 ~セルフステアを知ろう~
セルフステアとは
バイクや自転車が曲がる時、車体(後輪)の傾きに対して前輪が適正な向きとなるように自動でハンドルが切れて舵角をつけること。
です。
下の動画はこの記事を動画でまとめたものです。
おそらく記事を読むよりわかりやすいと思います。
自転車でもバイクでも、ハンドルには触れずに車体だけを押していきます。
で、途中で車体を左(向かって右)に傾けると・・・・
なんと、勝手にハンドルが左に切れるではないですか!
これがセルフステアです。
これを今から詳しく解説していきますね。
バイクは傾くことで曲がる
皆さんも十分わかっていることと思いますが、バイクという乗り物は傾くことで曲がります。
垂直なら真っ直ぐ、少し傾けると少し曲がる。大きく傾けると大きく曲がる。ということは皆さんの体験、または想像通りです。
さて、僕は今回このような模型を用意しました。
これらの3つの紙ロールがどのような転がり方をするのか見てみましょう。
直立の模型ロールは真っ直ぐ転がるだけなのでここでは割愛します。
では、少し傾けた状態を模したロールを転がすと
はい。円弧を描きます。(動きは動画をご覧ください)
次に、大きく傾斜させたロールを転がします。
これも円弧を描きます。
どちらも円弧を描くように転がりますが、その旋回半径が違います。
大きく傾ける方が小さな円弧を描くので、急カーブほどバイクをより傾けなければならないことがわかります。
傾けるだけでは曲がらない
さて、バイクは傾ければ曲がるのですから、舵角なんてつけなくても曲がるんじゃないかと思いませんか?
これは、ハンドルを固定して舵角が付かないようにした自転車です。
この自転車を傾けたまま押します。
傾けるだけで曲がるのであれば自転車は向かって左に曲がるはずです。
ご覧の通り、曲がらないんです。
ハンドルを固定すると、いくら傾けてもひたすら真っ直ぐに進みます。
前輪も後輪も傾いているわけですから、円弧を描くように曲がっていくはずですよね?
実は、前輪も後輪もそれぞれのタイヤは曲がろうとはしているのです。
こんな風に。
でもこれでは曲がれないのです。
前輪も後輪も自身の傾きに合わせた自分勝手な旋回を描こうとしているので、その軌道線上で必ず交差する箇所が出てきます。(黄色の円)
実際には、バイクという車体に固定された前輪と後輪なのでこういう動きは物理的に不可能となります。
なので互いの軌道を打ち消し合って真っ直ぐにしか進まなくなります。
では、前輪と後輪がそれぞれどのような円を描くと曲がるようになるのでしょうか。
曲がるための舵角
これは、自転車を右に傾けながら押した時の俯瞰画像です。
ハンドルは固定していませんので自転車の傾きに合わせて勝手に舵角がついています。
これは動画で見て頂くとよくわかりますが、実に綺麗な円を描いてその場を一周します。
画像ではわかりにくくて本当に恐縮なのですが、前輪と後輪はある法則性を持って円を描いています。
これは後輪の軌道です。
車体の傾きによって後輪の旋回半径が決まります。
これを基準としてハンドルが勝手に舵角をつけてもう一つの円を描きます。
赤い円が前輪の旋回軌道です。
後輪の青い軌道を基準として、その一回り外を旋回しています。赤と青の円は互いに交差しません。
このように、円弧が交差しない2つの円を何というかご存知ですか?
「同心円」です。
バイクという乗り物は、曲がるために傾けた時、前輪と後輪が同心円の軌道を描くことで初めてその傾きに見合ったカーブを走行できるのです。
言い換えると、
後輪の傾きに対して前輪の舵角が適切な角度でないと思った通りに曲がれない
ということなのです。
どうやってそんな舵角をつけるの?
後輪の軌道に対して前輪が同心円を描く舵角をつけるとバイクは曲がりますが、それが頭でわかっていても、その時の丁度いい舵角なんて乗っている本人がわかるはずもありません。
その舵角を腕で作るなんて無理です。
じゃあ、コーナーが上手い人はどうやって適切な舵角を付けているのでしょう?
その答えは、
ハンドルに対して何もしないこと
なのです。
ブレーキ操作やクラッチ操作以外の力は一切加えないことが最も大事なことです。
そうすればハンドルは勝手に丁度いい舵角を付けてくれます。
それがセルフステアなのです。
上手い人ほどハンドルに対して力を加えません。
フリーの状態、ハンドル任せ、好きにやってくれ。
ということなのです。
バイク初心者ほどこれがとても難しいわけなんですね。
「バイクは腕で操作するもの」と思っているうちはこれができません。
「バイクは下半身で操作するもの」ということが理解できてくると自然とセルフステアが身に付いてきます。
まとめ
ここまでセルフステアについて述べてきました。
セルフステアの極意は「何もしないこと」です。
そしてセルフステアをマスターすればコーナーがぐっと上達します。
セルフステアを上手に利用するコツとしては、上半身を少し前傾させ、腕が少し曲がった状態にすると余計な力が入り難くなりますのでお試しいただければと思います。
下に、フォームについての動画も貼っておきますのでよろしければご覧ください。
以上です。